教える者のたった1つの義務

誰かに何かを教える立場の人がいるとして、その人がすべきことは"教える人間がいなくても自分で答えを導けるようにすること"だと思う。

親でも教師でも、誰かに何かを教える人は答えを教えてはいけない。
答えっていうのは、答えられることに価値があるんじゃなくて、答えを自分で導き出せることに価値がある。
「答えられることに価値がある」って教えてしまうと、「単に答えられさえすればいい」ってなってしまうから。
答えを覚えるだけになってしまう。

これは何も出来ない。
1+2=3、2+5=7,4+9=13ということを覚えていても、5+17の答えを知らなければ答えることが出来ない。
でも、それが何故そうなるのかを知っていれば、答えを知らなくても答えを導き出すことが出来る。

延々と答えを覚えていくことは原理的に無理だし、そもそもこの世界はそんな優しくできていない。
その時々によって条件は数字も記号も違うし、覚えていることよりも覚えてないことの方がずっと多い。
覚えたことが出てくることなんてほんのわずか。

だから、答えを教えてはいけない。
教えるのは自分で答えを導く力。
問の意味を理解し、解くために必要なものを調べ、それらを組み立てて解く力。
そこにある原理を汲み取り、問題を解決する力。

これが本当に教えるべきこと。
言うなれば、"教師離れさせる力"
教師がいなければ立ちいかない状態は望ましくない。
それはその教師がいなければ何もできなくなってしまうから。

教師は自分がいなくてもいい状態を生み出す存在。
自分がいなくても、必要なことをその都度学び、勝手に育っていくように。
その状態にすることが、もしかしたらそれだけが教師の唯一の義務。

とりあえず、今の僕はそう思うのですよ。

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