水鏡

鏡の向こうに僕が在る
月を見上げて鎖を流し
虚ろな瞳は白痴の眺め

夜に色をつけて
零して狭間の光を
砂の殻を陽射に砕いて

別れる岸辺に二つの姿
僕が君に追いつく世界へ
白い腕には鏡を掴んで

満ちた月を揺らして
塗りつぶして無色の夢を
走り続ける夜空を灯して

背中の空には夢は無いから
僕の痛みは消えてくれない

その両手を伸ばして
刻みつけて君の印を
二つの世界に声は繋がる
瞼の裏に君を描いて
僕は水面を飛び越える

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