水牢

私は一人水の底
眼を閉じて膝を抱える

背中には逆さ吊りの人柱
黒くて暗い闇に沈む

水面を叩く雨音が聞こえた
震える粒子は心地良くて
時の調べは届かない

長い永い眠りの中
罰を終えた寝起き頃
雨の旋律が途切れた

淡い漏れ日を瞼に感じて眼を開ける
空から底へ続くのは
柔かくて綺麗な光のカーテン
手を伸ばしてみても遥か遠くて
帰ろうと足掻いても
忘れた罪が許さない

私は独り夜の底
心が水に溶けてゆく

コメント