連想遊び〜「蒸発×戦争×Restaurant」〜

近頃、この近くの戦場で不思議な霧が発生するようです

時刻は深夜頃
その霧は前触れもなく現れ、辺りを覆います
霧は非常に濃く、ロウソクの明かりほどの視界しかありません

迷い込んだものはその霧の中に閉じ込められてしまい
道を戻ろうとしても、霧から出ることはできません

ただし、全ての道を見失うわけではないのです

というのも、霧に取り込まれてすぐに1つの道と遭遇するからです
迷い込んだものを誘うかのように霧の中で確かに続く道

他にあてもなく、訝しみながらその道を進むと、一件のレストランに辿り着きます

霧の中に佇む、古びた店構え
店の前にはぼんやりとしたランプが吊り下げられています

軋む扉を開け、店内へ
案内は見当たらず、そのまま空いている席に座ります
テーブルの上にメニューはありません
しばらく待っていると、顔の見えない店員が料理を運んできます

店員の言葉によると、提供されるのは過去に蒸発してしまった人々の記憶
このレストランは戦争で世界から消え失せてしまった人々の記憶を食べる店なのです

彼らの抱いていた幸福な夢、不幸な現実、淡い希望
そういったものが料理の形になって提供されるとか
その味わいがどのようなものかはわかりませんが、口にしたものは皆、例外なく涙を浮かべるそうです
泣くほどに美味ということでしょうか
記憶の味など想像もつきませんが、感動させるほどの逸品ということは間違いないでしょう

勿論、そんな食事をただで食べられるわけではありません
対価を支払う必要があります
とはいえ、支払うものは普通のお金ではなく

その食事の対価は2つの記憶

1つめは争いの記憶
自らの参加した戦争の記憶を支払うのです
故に、それを持っていない人は辿り着くことすら出来ないそうです

もう1つはレストランでの記憶
食べた事も、来たことも、店を出ると同時に全て忘れてしまう
霧が消えてしまうように、一時の夢は覚めてしまうのです

如何です?
記憶を食べるレストランのお話
気になりませんかな?




"蒸発"
"戦争"
"Restaurant"
「Nole Maker」
http://hollowcradle.cf/nole_maker

これらの断片のご利用はお好きどうぞ。
また、連想される物語や設定などがありましたら、コメントにてご自由に、お気軽に綴って下さいませ。

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