旅の道連れ

機械の身体を手に入れ、動き回れるようになったでんでんくん。
彼は世界を周ることにしました。

そうなると乗り物が必要です。
でんでんくんは世界という海原へ繰り出すために、いかだを作ることにしました。

そこらへんに落ちていた木材を、そこら辺に落ちていた紐で結び。
自分と似た色の金属に自分の顔を描いた旗代わりのプレート。
半日かけて出来上がったいかだの仕上がりにとっても満足です。

さあ、いざ世界の旅へ・・・
と言いたいところですが、何かしっくりきません。

でんでんくんは悩みます。

「何が足りないんだろう」

でんでんくんは旅は記憶の隅にある言葉を思い出しました。

"旅は道連れ"

ということで、でんでんくんの目覚めた部屋の隅の鉢植えで眠っていた眼球植物くんを連れて行く事にしました。

準備を終えたでんでんくん。
早速いかだに飛び乗ります。

そして、向かう先は風の導くままに。
でんでんくんの作ったいかだは浮かび始めました。

人々の語る物語には空を飛ぶじゅうたんというものがあるそうですが、これは「空飛ぶじゅうたん」ならぬ「空飛ぶいかだ」。
風に揺られ、ゆっくりと進んでいきます。

これから彼は何処へ向かうのか。
どんなものと出会い、何を想い、何を得るのか。

期待に心をふくらませながら、旅は始まりました。

「すすめー」

でんでんくんは言葉を話せませんが、彼を見ているとそんな声が聞こえてくるようです。

途中、いかだの揺れで目覚めた眼球植物くんも何か思うところがあるのでしょう。
起きてからずっとでんでんくんを見つめています。



きっと彼もこれから自分たちを待ち受ける冒険が楽しみでたまらないのかもしれません。

彼らの旅路に幸あらんことを。

コメント