唯色

あんなに輝いて見えた世界も
今は記憶の境界線から外れ
輝いて見える景色も
瞼を閉じて もう一度開けば
刹那の内にその色は失われる

移り行く世界は
幾つもの幸福論に満ちているけれど
僕にとっては 多くのそれらが
吐き気を催す何かに見えてきて

ふと 気が付けば
遠い遠い空を見上げ
言葉にならない言葉を 叫びたくなるんだ

僕には何色が足りないんだろう
僕は何色を探せばいいんだろう

色褪せた世界で 色褪せない願いを

けれど
失った色は取り戻せない
心の泉は
濃厚な色で塗りつぶすことしかできないのだから

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