うつろひゆれて、たちきえぬ

背負い生まれじ 無垢な白
かたち強いるは濁り色
拾いし硝子で辺りを眺め
知らず知らずに桜散る

その定めは彼が結ぶべきか
その流れは彼の幸いか

いつはりは誰の為に
いつはりは何の為に

あじさい濡らす雨空のとき
こころに響く水の音
従ひ揺れるは忘れ日のこと

広がる波紋
消しあひ 高めあひ
曇りを照らすのはどの方か

抱く明かりは一つきり
されど 
行く先を定むるは 百のうちの一つきり
いづれにせよ
進むこと叶ふは一度に一つ
迷ひ迷ひて 道選ぶ


こころ構えて迎へるは祭りの季節
潮風こひし むせ返る熱
民人は意を等しく持ちて
一夜の間に花と散る

儚くも強く 淡くも濃く描きし夢の花
触れて消えゆく 風連れて

夏影にうつるは秋化粧
香り薫れば 瞬きの間に触れる程
心ゆらすは紅の風
暮れ色眺め つかの間を哀色に染める

季節の端頃
未だ至らずの冬に怯えて夜見かぞへ
春来待ち侘びる私の影が

いたづらに戯曲を奏でれば
乏しき童が戯れに舞い踊り
散りゆくきはは 流れ堕ちる星のごとく鮮やかに
或いは
咲きどころ過ぎ 知れず朽ちゆく根のように



幾度幾度とくり返す人の夢
終に咲くは何色か

蜃気楼の煌き求め
おぼろげに見ゆるその美しきに瞳を背け
水鏡にうつるは いつぞに枯れた道化なり

等しく持つは砂の数
めぐらぬ季節を知りしとき
憐れな己に気付きしとき
かへること望みても それは叶はず

ただ 
彼岸の花にて絶へるのみ

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